刊行物・資料

市民生活への影響

工場や自動車から排出される大気汚染物質により、周辺の住民のあいだで慢性気管支炎や気管支喘息などが発症し、多くの人たちが苦しみました。

大気汚染(二酸化硫黄)注意報の発令状況

1969 1970 1971 1972 1973
延回数 29 19 8 7 9
発令時間 105時間25分 53時間45分 21時間20分 19時間50分 14時間50分

川崎市公害局調査

全国に広がる公害被害と国の動き

深刻な公害被害は、川崎市だけではなく、日本全国で発生しました。苦情は主に地方公共団体に寄せられるため、その対策には地方自治体が率先して対応してきました。国では、公害防止に関する基本的な姿勢を明確にするため、1970年に公害問題に関する一連の法整備を行い、1971年には環境庁を発足させ、今日の公害規則の骨格を形成しました。

地方公共団体における公害苦情処理件数

年度 合計 大気汚染 水質汚染 土壌汚染 騒音 振動 地盤沈下 悪臭
1970 59,467 12,911 8,913 67 22,568 11 14,997
1971 70,014 13,798 11,676 262 25,591 937 17,750
1972 79,727 15,096 14,197 408 28,376 74 21,576
1973 78,825 14,234 14,726 466 28,632 93 19,674
1974 68,538 12,145 14,496 478 24,195 84 17,140
1975 67,315 11,873 13,453 593 23,812 68 17,516
1976 62,374 11,119 11,714 440 23,913 65 15,123
1977 61,762 10,697 10,509 292 20,722 3,493 62 15,987
1978 60,953 10,534 9,736 216 21,305 3,478 74 15,610
1979 59,257 10,819 8,725 185 21,667 3,211 59 14,591

総務省公害等調整委員会報告書

1970年に改正・成立した14の公害関連法令

1970年に開かれた臨時国会では、公害問題に関する集中的な討議が行われたことから「公害国会」と呼ばれました。政府は全国各地で問題化していた公害の対処には公害関係法制の抜本的整備が必要と認識し、公害関係14法案を成立させました。

  • 公害対策基本法
  • 道路交通法
  • 騒音規制法
  • 廃棄物処理法
  • 下水道法
  • 公害防止事業費業者負担法
  • 海洋汚染防止法
  • 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律
  • 農薬取締法
  • 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律
  • 水質汚濁防止法
  • 大気汚染防止法
  • 自然公園法
  • 毒物及び劇物取締法